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中学生らイラク戦争停戦求める／北中城で緊急集会

　「なぜ武力で平和を得ようとするのですか」「戦争で何が解決するんですか」。３０日午後、在沖米海兵隊司令部のある北中城村石平の米軍キャンプ・フォスターのゲート前で「とめようイラク戦争！　緊急集会」（同実行委員会主催）が開かれ、参加した中学生が、民間人の犠牲が広がるイラク戦争の即時中止を訴えた。約１０００人の参加者（主催者発表）は、中学生の反戦平和の訴えを胸に刻み、イラク戦争中止に向け決意を新たにした。

　集会で訴えたのは具志川市の中学２年生の女生徒ら１６人。英文で「イラクを攻撃しないで」と記したハート型のシールを顔に張り、風船を持って、戦禍が拡大するイラク戦争への怒りや悲しみを自作の詩で表現した。

　「どうして肌の色、言葉、思想が違うからといって命を奪い合うのですか」。又吉ゆき乃さん（１４）は米英両国とイラクに疑問をぶつけた。反戦の声が届かず「つらく、とても悲しい」と語り、「『命どぅ宝』。私たちはずっと言われ続けてきたではありませんか」と訴えた。

　比嘉飛鳥さん（１４）は戦禍を逃げ惑うイラクの人々への思いを込めて「苦しんでいる人は一般人。何の罪もない子供たちなのです」と訴え、「戦争に勝つということを本当に誇れるのですか？　いくつもの命を奪うことが本当に勝利なのですか」と問い掛けた。

　仲村渠麻衣さん（１４）は、「なぜ殺し合い、傷つけ合わなければならないの。残るものは悲しみだけ。歴史を繰り返さないためにも止めなきゃいけない。それが私たちにできること」と語り、戦争中止の思いが多くの人々に届くよう願った。

　集会では参加者が米軍基地内に向かって「イラクへの攻撃をやめろ」と連呼。平和運動センター、統一連、平和市民連絡会など実行委員会を構成する平和団体の代表らがあいさつし、戦争の長期化による民間人の犠牲拡大を懸念し、戦争の即時中止を訴えた。

写真説明：「戦争で何が解決するんですか」などと訴え、イラク戦争の中止を求めた中学生ら＝３０日午後、北中城村石平のキャンプ・フォスターのゲート前

石垣でも８０人が反戦デモ

　【石垣】イラク戦争即時停止を求めるデモ（平和を求めるデモ実行委員会主催）が３０日、石垣市内で行われた。市民約８０人（主催者発表）が参加して平和の鐘を鐘打した後、市内を静かにデモ行進した。

　実行委は「唯一地上戦を体験した沖縄県民として武力で一般市民、とりわけ女性や子どもたちが犠牲をこうむることをこれ以上黙って見過ごすことはできない」とデモを企画した。

　デモ行進前に新栄公園で開かれた集会では、市民らは「戦争に正義なし」「ストップ　ザ　戦争」などそれぞれの思いをプラカードや横断幕に書いて参加。集会後、実行委の潮平正道代表世話人が、ピカソの「ゲルニカ」を描いた布の「戦争」の文字をバツで消し戦争即時停止を訴えた。ひとりずつ公園の平和の鐘を打ち鳴らし、デモ行進に出発した。

写真説明：イラク攻撃の即時停止を求め市内をデモ行進した石垣市民ら＝３０日、石垣市

高校生ら沖縄から平和発信／ピース・オブ・ユイマール結成

　庶民を巻き込むイラク戦争が進む中、同じ地上戦が展開された沖縄戦を学び、痛みを分かち合う助け合いの心で平和を築くうねりを起こそうと、県内の高校生たちが２９日、那覇市ＮＰＯ活動支援センターに集まり、「ピース・オブ・ユイマール　沖縄から平和を発信しよう」を結成した。

　学校の枠を超えた活動の目的を「地上戦のあった沖縄の高校生として、平和の大切さについて理解を深め、広い世代、地域に伝え、平和のために活動する」と確認。十数人のメンバーで活動をスタートした。多くの高校生の参加を呼び掛けている。

　メンバーの比嘉涼子さん（豊見城高１年）は「沖縄の高校生だからこそできる平和の訴えを、行動に表したい」と話した。小禄高１年の上原亜里沙さんは「世界の戦争反対の声に耳を傾けず、イラクを攻撃したブッシュ大統領は許せないと思う。自分も何かしたい」と熱意を示し、那覇西高１年の榎本真弓さんは「戦争のない世界のために、行動できずにいた自分がもどかしかった」と参加の理由を語った。

　結成のきっかけは、長崎県で核兵器廃絶を求める署名活動を展開している「高校生１万人署名実行委員会」から沖縄側に署名への協力依頼があったこと。長崎の高校生３人を交えた交流会を開いた際、沖縄側のメンバーは、５万人近い署名を集めている長崎の活動に刺激を受けた。沖縄の高校生ならではの行動を起こそうという声が上がり、卒業生たちも結成を後押しした。

　長崎側の署名活動に協力することや、慰霊の日に向けて沖縄戦の戦跡巡り、体験者の講話を通した平和学習などを計画している。

　世話人役を担った赤嶺真也さん（那覇高卒）は「被爆地・長崎と連携し、次代を担う高校生が沖縄戦を深く学んで、平和をアピールすることは大切。だれでも、参加できる雰囲気をつくりたい。関心をもつ多くの高校生に気軽に参加してほしい」と話している。問い合わせ先は赤嶺さん０９０（８４０９）９５６８。

写真説明：平和を訴える「ピース・オブ・ユイマール」を結成した高校生たち＝２９日午後、那覇市ＮＰＯ活動支援センター

ジュゴンを守ろう／都内高校生署名活動

　名護市辺野古海域の基地建設に反対し、ジュゴンを守ろうと、東京都内の高校生五人が三十日、パレットくもじ前で署名活動を行った。

　署名を集めたのは宝谷進さん（都立田園調布高校二年）ら。五人は、平和学習を通して、沖縄の基地や環境問題を学び、二年前から、辺野古海域に生息するジュゴン保護運動に取り組んでいる。

　この日、春休みを利用して来県した五人は、那覇空港から、パレット前に直行。歩行者に署名をアピール。この日の分も合わせ、四百人以上の名前が寄せられた。

　署名簿は、岸本建男名護市長と稲嶺恵一知事あてに提出する。

イラク攻撃中止求め、３議会決議

◇玉城村

　【玉城】玉城村議会（川平善範議長）は２８日、「イラクへの武力攻撃をただちに中止するよう求める決議」案を全会一致で採択した。

　決議は「この戦争は、イラクの大量破壊兵器問題で国連の査察による平和的解決の取り組みが本格的に軌道に乗りつつあるときに、それを武力で断ち切るものだ」と指摘。また沖縄がこの戦争に巻き込まれる恐れも高まるとして「ただちに武力攻撃を中止し、国連憲章に基づく平和的な解決に力を尽くすよう求める」としている。

◇与那原町

　【与那原】与那原町議会（知念良光議長）は２８日、「イラク攻撃の即時中止を求める決議」案を全会一致で可決した。

　決議では、国際紛争に対し武力による威嚇や行使を禁じている国連憲章に触れ、「国際社会の圧倒的な支持のもとでの平和的解決の道を武力で断ち切ることを意味し、国連憲章をも踏みにじるもの」だと指摘。「ただちに武力攻撃を中止し、国連憲章に基づく平和的解決への道に戻るよう強く求める」としている。

◇大宜味村

　【大宜味】大宜味村議会（前田貞夫議長）は２８日の最終本会議で、「不戦および平和貢献に関する意見書」案を全会一致で可決した。あて先は、首相、外務大臣、衆参両院議長。意見書案では、武力行使は「互いに傷つき、憎しみを増幅させ、新たな争いを引き起こす」と強調。被爆国でもある日本は、「２１世紀を『世界平和の時代』として、リードすることが求められている」と指摘し、国連決議に基づかない軍事行動に反対し、平和的解決に貢献するよう強く求めている。

米国の大学生、ハンガーストの牧師と交流／米総領事館前

　平和学習で２４日から来沖している米国の大学生らが２６日午後、浦添市の米国総領事館前でイラク戦争の中止を求めてハンガーストライキしている大里村の牧師、平良夏芽さん（４０）を訪ね、交流した。

　大学生らは米国・ニューヨークのロングアイランド大学の学生で、同大のフレンズワールドプログラム東アジアセンター（京都市）で半年から１年間、日本文化などを学んでいる。

　平和学習には２０歳から２８歳までの男女９人が参加した。

　平和学習では南部戦跡を中心に回っていたが、引率する同センター職員のハウザー美千代さんが平良さんの抗議行動を知り、それを聞いた学生らも「ぜひ訪ねたい」と希望し、実現した。

　学生たちは平良さんを囲むように座り、「イラクの様子はどうだったか」「この抗議は米国だけじゃなく日本の姿勢にも抗議するのか」などと質問。平良さんは「イラクで会った人で戦争を望む人はいなかった」「僕も小泉首相にイラク戦争中止を訴えるから、君たちもブッシュ大統領に訴えて」などと真しに答えた。

　交流は約４０分間行われ、学生らは別れ際に平良さんと両手でしっかりと握手した。

　平良さんは「関心を持って来てくれたことに感謝したい」と感想を語った。

　また、ハウザーさんも「短い時間だったが、平良さんの訴えが心に響いた。みんな反戦平和を願う者として、よりイラク戦争を残酷な現実として受け止めたようだ。この交流で学生たちが何が大事で、どういった行動をとるべきかを身に付けてほしい」と学生らの成長に期待した。